腹黒さと塩辛さは機会均等 〈後編〉 | 幕間だけの天井桟敷

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  適当な湯加減で書いています

「どっからでもかかってこいやぁ!」

内心ビビリながら、店の暖簾を勢い良くくぐってみる。

幕間だけの天井桟敷-富山3

おおっ、よかった! 店内もいたって普通の感じ。
早速メニューを見てみる。
麺は「中華そば」のみの一本勝負。 小(並)、大、特大、とサイズが選べるだけのストイックレパートリー。

うむ、よろしい。
珈琲専門店を謳う喫茶店が「焼きそばはじめました」と、手作り感満開の張り紙を知らぬうちに店内に貼りだして没落してゆくように、品数を無闇やたらに広げて、いったい何屋やねんっとツッコミたくなるような残念な感じの店とは違う。本物の匂いがする。

迷う間もなく、「中華そば 小(並) 700円」をオーダー。
「あいよぉー」と昼下がりの主婦系店員さんの心和む相づちから待つこと約5分、お目当ての中華そばが運ばれてきた。

幕間だけの天井桟敷-富山4

うーむ、がっしりとしたソリッドなヴィジュアル。

幕間だけの天井桟敷-富山6

では、早速いただきます!
一口目の麺とスープを口に運ぶ。

……………
「☆$ж£㌦㍾!!!」

一口目からまさかの64メガbpsぐらいの猛烈な早さで塩辛さがダウンロード。
細かくは覚えていないが、たぶんぼくなんかちょっとした奇声を発したと思う。それぐらい今まで食べたラーメンの"塩辛さ"とは完全に別次元。

富山ブラックは、もともと肉体労働者の方々の塩分不足を補うために考案されたらしいが、個人的な感想を言わせてもらうならば、「補う」どころかこれは完全にオーバーフローの分量。「ソルティー」とかそんな生易しいものではなく、むしろ「ソルト」そのもの。 しかもチャーシューやメンマまでもが塩の味に完全征服されている始末。
表向きは「醤油ラーメン」を標榜しているが、これむしろ本当の意味で「塩ラーメン」だったとしてもあながち間違いではない。

誤解無きよう、お店の名誉のために言っておくが、スープ自体の香り、出汁の豊かさや麺のしっかりしたコシの良さなど、ラーメン自体のスペックとしては素晴らしいのだ。レベルは高いのである。ただ、いかんせん「塩分の分量」という考え方のところで、えらく珍しい物差しを持ってはるというだけなのだ。

後半あたりになってくると本気(マジ)で緊急事態。あまりの塩気に、舌が勝手に自然発火。
もうこれだけの塩辛さだったら、バシルーラ喰らって大阪まで一瞬でフライアウェイさせられても文句は言えない。それほどまでの亜空間なテイスト。

おお、ラーメンの神様、以前の名古屋の激辛ラーメンから、いったい僕をどこに持って行きたいというのですか、はっきりおっしゃってください。

しかしですね、ある一定の時間内において水を飲む量を競う種目があったとしたら、この時の僕はおそらく世界一だったと思う。
その証拠に、店を出てすぐに富山駅でTOILETに直搬入。んで、すぐに大阪に向かう特急サンダーバードに乗ったのだが、合計で5回も用を足しに車内のトイレに入り浸るありさま。それだけ腎臓がフル回転して、排尿を促進させたのだと思う。

もはやラーメンの神様どころか「トイレの神様」状態。
この感じだと年末の紅白歌合戦に白組として出場して、植村花菜さんとガチで勝負できるような気がします(ないない)。

というわけで、この年末は汚い私のお部屋と腹黒な心を掃除します。